あたらしいまちのブログ

あたらしいまちの交換日記

台風の目

金曜日から台風が接近。

地元では電車も止まり、なかなかひどい被害になるのではないかと、みんな予想していた。

一方私は、台風がくるからか、気圧の変化で体調が芳しくなく、仕事を早めに切り上げて、家に帰った。ある意味のプレミアムフライデーだなぁなんて、不謹慎なことを考えながら。

 

家に帰ると、母がコロッケを作ってくれてて、「今日、イオンに行ったら台風コロッケなんて書いてあったから、ついついね!」なんて話をしていた。そんな話は聞いたことなかったけれど、コロッケは大好物なので、変な風習に感謝しながら食べた。食べ終わってすぐにお風呂に入り、寝るにはまだ早いなと思いながらも、ベッドに倒れこんだ。体調も悪かったからか、すぐに眠りについた、のだと思う。

 

「思う」というのは、変な夢、のようなものをみたからである。それは、ちょうど「台風の目」のようなところに立っている私がいて、歩くと、ずしん、ずしん、と音を立てながら台風と共に動いているのである。地理には詳しくないけど、どんどん地元の方に近づいていってるのはわかった。上から見下ろすかたちになるのだが(私は何故かとても巨大だった)不思議と、「会社に行かなきゃ…」なんて思って歩いていたのである。いつもよりも重い体を引きずって、会社のあたりについたところで、私はベッドの上に転がっていた。

そこではじめて、「夢だったのか」と気づいた。ふとついてたテレビをみると、ちょうど今は台風の真ん中にいるようだった。そして、進路をみて気づいた。「私が歩いてきたところと同じだ」と。

もう一度布団に潜り眠る。このままいくと、被害を大きくするだけなので、海に抜けなければという使命感に襲われて、もう一度台風の目の中に行った。重い体はさらに重くなっていて、海に抜けようにも、なにか強い力で押し戻されてしまい、日本列島の上を歩く形になっていた。「このままいくと、九州だ…!」と一生懸命進路を変えようと思いながら、歩く。私の力も虚しく、ずんずん上を歩く。海の方を見ると、建物が壊れているのも見える。このままじゃダメだと思うが、上手く動かない。もどかしい気持ちのまま、汗をかきながら歩く。このままじゃダメなのに!と気持ちだけが焦る。ふと、遠くで声がする。歩き続ける。声が大きくなる。被害者の声だと思い必死になる。声が大きくなる。そして、目が覚めた。

母がうなされてるのをみて、起こしに来てくれていた。どうやら昼まで寝ていたようだ。汗だくになりながらうなされているのをみて、母は心配していたが、「私が台風を動かしていた」なんて言えず、ただ謝った。

テレビをみると、海に近いところは被害があった、など、どうしてか見たことがあるような被害が映っていた。申し訳無い気持ちになり、テレビを消し、外に出る気も失せてしまったので、家でゴロゴロして過ごした。

その日の夜ももしかしたら、と思ったが、その日は可愛いウサギの夢をみた。こんな時にとも思ったが、昨日嫌な夢をみたのだから今日ぐらいは、とも思った。

次の日からは仕事だったので、会社へ向かったが、そういえばはじめて台風を動かした時、私は会社に向かっていたことを思い出す。もしかしたら、台風の被害があったかもしれないと、不安になってきた。もし被害があったら…、と考えると、休みになることはないが普段通りにはいかないこと、今の企画は延期になることなど、嫌な方向に思考が進む。

 

どうしようと思いながら会社へ向かうと、いつも通りの会社が見えてきた。窓やドア、壁、屋上などをみるが、被害はなし。

なぜかがっかりした。

そんなわけないのだが、台風を動かした感覚だけは鮮明にあったので、期待していたところがあったのだと思う。

 

もちろん嬉しい。でも、残念ながらいつも通りの仕事がその日も待っていた。

 

子どもの時と変わらない。

「あーぁ、台風で会社(学校)とんでいかないかなぁー」

 

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