あたらしいまちのブログ

あたらしいまちの交換日記

暑いと外を10分歩くのもしんどい

最近、いきなり気温が高くなった。冷房の効いた部屋から一歩出ると、途端に熱気が体にまとわりついてきて、駅まで行くのも億劫になる。

今日は夜から稽古だったが、家を出る時間になってもまだまだ日は出ている。この日差しの中を歩いて行くのはと、ついつい車に乗ってしまった。

ガソリン代がなかなか高いのであまり乗らないようにしていたが、久しぶりに乗ると運転するのが楽しい。飛ばしすぎないようにと気をつけてはいたが、ついやってしまった。

帰り道、サイドミラーを電信柱にぶつけた。

無残にも根元から折れたミラーは、コード一本でなんとか車体に繋がっているような有様だった。これの修理でいくら飛んで行くんだろう。財布の中身を思ったが、とりあえずは家に帰らねばならなかった。なにか固定できるものを、と探し、荷物の中にあったマスキングテープで固定してみた。おそるおそる車を走らせてみると、振動によって小刻みに揺れている気がする。心配だったが、これ以上固めることも、取り外すこともできない以上、このまま帰るしかなかった。

落ちないだろうかと、ついついミラーを気にしつつ帰る。さっきの事故で学習できなかったのか、前方への注意が疎かになっていた。

あと少しで家だ、と安心してミラーを確認した瞬間、突然目の前が黒くなった。え、と前方を見る。

黒い膜のように感じた。柔らかい、泥のような、柔らかいゴムのような質感の膜を、車で突き破る。フロントガラスが黒く染まり、それはすぐに破れ、横のドアガラスを舐めるようにして、後方へと流れていった。

慌てて車を止めた。なにも考えずにドアを開けて、車を出て、後ろを確認する。なにもなかった。

静かな住宅街を通る、他に車もいない細い道路。膜どころか、その切れ端も見当たらない。なにもない。

車体を確認しても、もちろんなにもなかった。慌てて車に乗りドアを閉めた。周りにはなにもいない。

疲れているのだろう。そう言い聞かせて、車を走らせる。さっきのことは考えないようにした。

駐車場に車を止めて、早く家に入ろうとしたが、そこでやっと、サイドミラーのことを思い出した。修理のことは正直よくわからないので、相談するためにも、写真くらいは撮らねばならない。

写真だけならすぐに済む。携帯を取り出して、壊れたサイドミラーを照らし出す。貼ったマスキングテープが、少し剥がれていた。

もっと丈夫なもので固定せねば、とテープを触ると、なにかついていた。

ゴミでもついたか、とよくよく見ると、剥がれかけたテープの裏に、泥のような柔らかいゴムのような、黒いなにかが付着していた。

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