演出・かしやまが語る「流れる雲を見ていた」インタビュー
いよいよ今週末、あたらしいまち「流れる雲を見ていた」公演です。
今日は、演出・かしやましげみつへのインタビュー形式で、どんな作品かご紹介したいと思います。
――ずばり、今回の作品「流れる雲を見ていた」はどんな作品ですか?
一言で言い表すと、“インターネット時代の「まち」を描きだす”ということに挑戦している作品です。
ネットもスマホも当たり前になった今の世の中で、ずいぶん私たちの生活とか変わってきたと思うんです。でも、それってあんまりちゃんと可視化されてる感じがしないなって、ここ最近思っていて。目に見えないインターネットっていうものの俯瞰図を描けないかな、と思ったのが最初の段階のアイデアにありました。
ーーインターネットの「可視化」?
はい。インターネットって、各サイトひとつひとつは画面で見えますけど、地図みたいな図ってかけないじゃないですか、たぶん。それを描いてみたいなって思ったんです。
一年半前の孤独部の公演「大学生」の中で、電話で話すシーンを電話を用いずに、舞台の外から話しかけるっていう場面があったんですけど、ぼくらの身体感覚って、ケータイやネットの登場でずいぶん変わってきてるんじゃないかな、って思ったんです。
孤独部「大学生」舞台写真/2015.05.15-16 千種文化小劇場
ーー今回も、そういうことに挑戦してるんですか?
……今回は、すべてがそんな感じになってます。舞台上が明確な場所ってわけでもないし、キャストにも具体的な役名があるわけでもない。もっというと、おはなしらしいおはなしもないという……
ーー“おはなしがない”って、どんな作品なんですか?
しいていえば、“タイムライン”に近いですかね。TwitterやFacebookとか、SNSみたいな。
細切れのお話がいっぱいあるんです。作中では時系列ってわけではなくて、感覚としてはリンクを飛んでく感じですかね。どんどん数珠つなぎにエピソードが出てきて、それらはバラバラのはずなんだけどなんとなくつながって見えてくるっていう。
ーーインターネットっぽいですね。
だから、演劇作品としてはけっこう不思議な感じになってるんじゃないかなと思います。実際に出てくるエピソードも、メンバーにかいてもらったブログ(※このブログの記事)をもとにつくっています。
ーーえ!ということは劇作は……
してないです……。ぼく自身の書いたことばは、一言もないかも。
ーーえー!でも作・演出になってますよね。
はい……すいません、結果的に作は全くしてないです。
当初は台本もあったんです。2,3回全部消しては書き直し、ってことを繰り返してた。それをもとにつくりだしてもいたんですけど、やってる途中で「違うな」っていう違和感がすごくて。
メンバーみんなに、「ごめん、全部ナシで」って……。
ーーそんな……!
実のところ、これがはじめてではなくって。
二年前に上演した「こころ」(AAFリージョナル・シアター2014。夏目漱石「こころ」を舞台化した作品)のときも、直前で全部破棄してつくり直したんです。そのときは結果いい方向に行けたと思った。
今回も思い切って破棄してから、作品が見違えるほど生き生きしたものになったと思います。
「流れる雲を見ていた」フライヤー表面
ーーフライヤーのスペースシャトルや宇宙っぽい感じが印象的ですが、「流れる雲を見ていた」というタイトルについて教えてください。
もともとは、「クラウド」というのが仮タイトルでした。これもネット用語です。
ネット上に書き残したことって、だいたいは残り続けてるじゃないですか。何年も前に書いたブログとかも。そうやってインターネット上に過去の自分の記憶とかをみんながどんどんアップロードしていて、それをぼくらはわりと自由に覗くことができる。
最近、人のブログを読むことにちょっとハマってるんですけど、その中にはどんな人かも全く知らない人のものもあるんです。全く知らない人の、今日の出来事みたいな日記とかに偶然たどり着いたりとか。
でも一回読んだらなぜか二度と見つけ出すことができなかったりするんですよね。あれなんなんだろう……。
「流れる雲を見ていた」稽古場の風景
ーーたしかに、読んだ記事とかってあんまり憶えてなかったりしますね。
ちゃんとブックマークとかしとけばいいんですけどね。し忘れちゃう。
そう、「クラウド」ってことばをつけた人すごいな〜って思って。そのブログ記事とかって、雲みたいじゃないですか?たしかに読んだんだけど、もう見つけ出せなくて、でもどこかにはあるんだろうな〜みたいな。流れていった雲みたいだな、って思って。
ーーなるほど。
あと全然違う角度の話になるんですけど、宇宙の事に最近ずっと興味があって。作中でも登場するんですけど。
メンバーと話す中で、さくらちゃん(出演するメンバーの一人)がこんなYouTubeLIVE配信を見つけてくれて。
これ、宇宙から地球を見たライブカメラなんですよ。すごくないですか?
頭ではわかってるんだけど、こうやってライブで見せされると、ほんと地球すごいな、とか宇宙すごいな〜って思って。
ーーすごい!これ、生配信なんですね。
なんか、宇宙ってフィクションみたいに思ってるトコあるじゃないですか。ないですか?それがいまこの瞬間ほんとにこの頭上に広がってるんだな〜、って思って。ほんのちょっと実感沸いた感じします。
もしかしたら画面に映っているところに自分もいるかもしれないって思うと、なんだかすごい不思議な気持ちになりません?
ーーなりますね……!
この白いとこ、雲なんですよね。思ったより雲多いな〜って思いました。
……話それちゃったんですけど、なんか、こういう視野で物事を捉えられたらいいな~って思ったんです。すごくおおらかな気持ちになれる。
いつもと同じ物事でも、見方をこれくらい変えれたら驚きと発見に溢れてるなって。そう思えるような体験をつくれたらなって思い描いてますね。……まだまだなので、公演まで粘ろうと思います。
「流れる雲を見ていた」フライヤー裏面
ーー公演一週間切りましたが、まだお席はありますか?
あります!まだありますのでぜひ!!
11/4[金]19:30の回は、完売間近です。
11/5[土]は、16:00と19:30の回があるのですが、どちらも余裕があります。
おすすめは土曜日!
11/6[日]は13:00と16:00の回で、16時からの回ではぼくのアフタートークがあります(こちらも残り少なくなってきてます)。
あたらしいまちのWEBサイト内フォームからご予約できますので、ぜひぜひ!
WEBサイトもかわいいので、ぜひ観てもらいたいです。
パソコンから見ると、横に丸い窓がついてて、スクロールするとかわいいです。
公演初日まで、あと4日。
あたらしいまち初の本公演「流れる雲を見ていた」ぜひ、ご覧ください!